訪問介護員(ホームヘルパー)

介護の職業

増える訪問介護サービス

介護の仕事は高齢者人口が増加していくにつれ、多様化を続けています。

中でもここ数年で利用者数が激増してきているのが、自宅にいながら介護を受ける訪問介護です。

訪問介護の特徴は、利用をするときの費用が居宅型の介護サービスよりもかなり割安になり、また住み慣れた家で生活を続けながら介護を受けられるという安心感があるということです。

そのため要介護者の自宅を回って介護を行う訪問介護員(ホームヘルパー)の需要も年々増えてきており、多くの介護従事者がそれぞれの地域で介護を必要とするお年寄りの元で支援活動を行っています。

ホームヘルパーとして働くために事前に何らかの資格が必ず必要というわけではありませんが、少人数で行うことが多い訪問介護を行うにあたっては事前にスタッフに対して研修や初級資格を取得しておくことを多くの事業所で推奨しています。

訪問介護のための資格として最初に取得することになるものとしては、「介護職員初任者研修」があります。

以前まではホームヘルパー2級

平成25年4月より、訪問介護における資格は大きく改正されました。

そのため以前までは「ホームヘルパー」資格や「介護職員基礎研修」などと呼ばれてバラバラになっていた資格が統一され、現行の「介護職員初任者研修」という名称で一元的に取り扱われるようになっています。

介護職員初任者研修は資格としては決して難易度が高いものではなく、130時間の決められた研修内容をこなせばすぐに取得をすることができます。

これから初めて介護の仕事につきたいと考えている人にとっては最短で必要最低限の介護の知識を網羅的に学ぶことができるので、介護資格で最初に取得するものとして広く利用されています。

介護職員初任者研修では、それまでは「ホームヘルパー2級」として扱われてきた訪問介護のための知識に限定せず、介護をするということ全体の知識を得られる内容に変更しています。

介護現場におけるサービスが多様化してきたことで、訪問介護と居宅介護を完全に分離するのではなく人員が自由にサービス形態を変えて勤務ができるようにしていこうというふうに介護業界の意識が変わってきていることの表れです。

給与・待遇面が大きな課題

しかし全体の数が増えてきたからといって、職業的な魅力が大きくなったかというとそうとも言えない事情があります。

ホームヘルパー・訪問介護を専門に行う職員の平均的な給与額はだいたい年収にして280万円くらいとなっており、これは一般会社員と比較して決して高いとはいえない額です。

またホームヘルパーの場合職場が一箇所ではなく一日のうちに数箇所を移動することになるため、そのために一日あたりの業務の時間がかなり長くなってしまうということもよくあります。

ただしそれではせっかく訪問介護を希望される人が増えても対応する事業所がなくなってしまいますから、少しずつながら待遇面は改善の方向になっています。

特にボーナスとして支給される額は年々高くなってきている傾向が見られており、今後も給与面でいかに他の仕事よりも魅力を出していけるかということが訪問介護員の社会的な課題と言えます。