精神保健福祉士国家試験

試験概要

精神保健福祉士は、日本三大福祉士とされている介護福祉士と社会福祉士と並ぶ福祉系国家資格です。

ですが資格そのものの誕生は他の2つよりも遅く、資格制度についても独自に「精神保健福祉士法」という法律によって定められるようになっています。

介護福祉士が介護現場、社会福祉士が福祉を含む支援が必要な現場とわかりやすく分類されているのに対し、精神保健福祉士は今ひとつ社会的認知度も低く、どういった仕事をしているかがわかりにくい部分もあります。

精神保健福祉士が誕生したきっかけは、日本国内においても精神疾患と診断される患者数がかなり増大してきたということと、それまで一般に社会生活を送ってきた人が何かのきっかけで精神の病気を発症してしまった場合、社会復帰が難しくなったり適切なケアを受けられないような状況が表面化してきたためです。

現代はこころの時代と呼ばれるように、多くの人が過剰なストレスを感じその結果心身にダメージを受ける状態が続いています。

そうした精神の病気に関わる支援をしていくための専門業務を行うのが精神保健福祉士の仕事となります。

資格取得までの主なルート

精神保健福祉士となるためには、あらかじめ特定の教育課程を修了するかもしくは相当の実務経験期間がなければならないものとされています。

まず最短で取得することを考えた場合、高校を卒業した後にまず福祉系大学に通い4年間をかけて指定科目の履修をします。

福祉系の短大に進学した場合には3年の履修と1年の実務経験が必要になるので、最低でも4年間は学習ないし実習の期間が必要になります。

福祉系の大学・短大に通わず一般の学部学科を卒業した場合には、卒業後に一般養成施設で1年以上の修了をしなくてはいけません。

いくつかの方法はありますのでこれから資格を目指そうという場合にはどういった方法があるかを公式サイトや学校案内などで細かく確認をしておいた方がよいでしょう。

受験資格を得たならようやく年に一回の資格試験を受けることになります。

なお精神保健福祉士については何らかの学校を卒業したら自動的に資格を得られるということはなく、必ず全員が国家試験を受けなくてはならないこととなっています。

試験は例年1月下旬に行われるようになっており、全国7ヶ所での受験となります。

資格取得後の主な進路

精神保健福祉士の場合、就職先となるのは一つの業種や業態ではなくかなり幅広い分野からの選択となります。

一般的なものとしてはまず精神科が置かれている総合病院や専門病院があります。

そうした施設で実際に治療を受けた患者さんに対し、治療が終わったあとにどういった支援制度を受けることができるかといったことをアドバイスしていきます。

精神的な疾患の場合、体内器官の疾患のように目で見てはっきり治った・治らないが判断できませんから、一度治療を受けたあとにはゆっくりと経過をみていく必要があります。

そうしたときに利用できるカウンセラーや福祉サービスを案内していくのが精神保健福祉士の役割になっていきます。

精神科のある医療施設の他にも、何らかの精神疾患が考えられる人のいる保健所や児童精神福祉施設、高齢者向けの精神福祉施設なども全体数は多くないものの多く精神福祉士が求められる現場です。